大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

広島高等裁判所松江支部 昭和25年(う)8号 判決

被告人

鎌田市太郞

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人田中節控訴趣意第二点について。

所謂誘導訊問とは発問者が特殊な発問の方法――言語、態度、音声、形式等――により相手方をして発問者の意図する事実を故ら供述せしめるような訊問の方法と解すべきところ弁護人所論の被告人西村平太郞及び証人湯本鍋雄の供述を本件記録によつて検討してみると検察官の訊問の形式は概ね「検察庁において述べた云々のこと」があつたかなかつたかであり発問の形式としては些か穏当を欠く嫌いはあるけれどもそれだからと言つて直ちにこれが所謂誘導訊問とは認め難くその他の発問者の言語、態度、音声等よりして誘導式な訊問であつたならば弁護人は原審でこれに対して異議を申立て得たのに拘わらず記録上異議の申立をした形跡が認められないからこの点より考えても右は所謂誘導訊問とは言い難く弁護人の論旨は理由がない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例